オレの宝物。それは君の笑顔【完】
月曜から金曜、風花駅(隣りの駅)近くのピアノ教室に通っていて、いつもこの時間に帰ってくること。


毎日ピアノを習いに行っているので、部活には入っていないこと。


バレー部の加納の朝練に合わせて、朝早く来ていること。


緊張しつつも、そんなことを聞き出した。


「だけど、朝、1人で何やってんの?」

「え? ……本読んだり、とか」


……本、か。


やっぱオレとは違う……。


「あ、そうだ。私の弟、今度1年生なんだけど、サッカー部に入るって」


ああ、例の、イケメンね。


「サッカー、やってたの?」

「ううん、剣道やってたのに、急にサッカーやるって」

「へえ、珍しいね。ま、でも、サッカーは最高のスポーツだからね」


サッカーの素晴らしさを語ろうとした時、


「あの、ここ、私の家なの」


北原が立ち止まった。


もっと遠ければいいのに――。


不満を抱きつつ家の方を見ると、離れのような建物が建っていた。

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