オレの宝物。それは君の笑顔【完】
水族館は思っていたより混んでいて、人気のある水槽の前は人だかり。


オレたちは遠巻きに魚を見ながら早いペースで館内を進んでいたが、クラゲの前で北原は足を止め、


「キレイ……」


しばらく、クラゲに見入っていた。


そして、オレは。


北原の横顔に見とれていた。




売店の前を通った時、キーホルダーがたくさん下がっているのを見て、


オレのプレゼントしたものを、北原に持っていてほしい――。


そう思ってしまったオレは、北原を売店の前に連れて行った。


「どれか、1コ選んでよ」

「……でも」


遠慮する北原に、


「今日の、記念」


恥ずかしいセリフを思い切って言った。

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