オレの宝物。それは君の笑顔【完】
9月23日、秋分の日。


北原の誕生日。


オレは、北原と会う約束をした。


サッカー部の練習は午前中で終わりだが、北原のピアノが3時まであったので、ピアノ教室のある風花駅前で待ち合わせた。


風花駅の駅ビルにはサッカーショップがあり、スパイクを見たい、というのが北原に対する建前。


本音は――一刻も早く会いたいから。




「誕生日おめでとう」


北原に会うとすぐ、プレゼントの入った紙袋を渡した。


「ありがとう。……見てもいい?」

「うん」


中には、クマのぬいぐるみ。


白くてフワフワの。


「かわいい」


北原は一目見るなり、クマを抱きしめた。


「すごくうれしい。ありがとう」


その満面の笑みに、多分、オレの方が北原の何倍も嬉しくなった。

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