オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「タカたちはいいよね。私なんて、女子ってだけでサッカー部には入れないし、南高は男子校だから、みんなと一緒に行けないし……」


いつになくしんみりする柚夏子に、


「見た目は男子、なのにな」


先ほどの仕返しとばかりに、ツッこむ。


柚夏子は、髪も短く、毎日外でサッカーをやっていたせいで色黒。


だから、よく男子と間違えられるのだ。


「なんだって」

「ほら、その目つき、とても女子とは思えない迫力」

「ちょっと待ちなさいよ」


こんなふうに、柚夏子がオレを追いかけ回すのは、いつものこと。


そして。


「タカ、柚夏子、いい加減にしとけよ」


聞き役に徹していた正人(まさと)が、ここで初めて言葉を発するのも、いつものことなのだ。

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