オレの宝物。それは君の笑顔【完】
 <貴文>


アンケート発表会の舞台裏で3人だけになると、突然、高野が北原に告白した。


なんで、オレのいる前で――?


最初は疑問に思ったが、高野はオレに挑戦してきたのだ。


オレの本心を見抜いて、あえてオレの前で告白したに違いない。


オレは北原の様子が気になって、チラリと隣りを見た。


北原はオレのさり気ない視線を感じたのだろうか。


悲しそうな瞳を、オレに向けた後ゆっくりと逸らした。


オレは――。


オレは、もう。


体育館に集まっている全校生徒のことなどどうでもよくなっていた。


ただ。


北原を失いたくなかった。


嘘でも、オレ以外の男の隣りに、カップルとして並んでほしくなかった。

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