オレの宝物。それは君の笑顔【完】
誰もいない校舎の廊下で、北原の手をそっと放した。


「教室戻ったら、みんなにいろいろ聞かれるよな~」


想像しただけで恥ずかしい。


「……イヤ?」


友達に見られたらイヤ――?


そう言った時とはまったく違う、はにかんだ表情でオレの目を覗き込む北原。


ほんとに、オレでいいの?


オレなんかで、いいの――?


「……だって、オレ、サッカーしかとりえないし」


オレは少しだけ本音をもらした。

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