オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「ずっと前、朝練の時間何してるのか聞かれたでしょ」

「うん?」

「最初はね、ほんとに読書してたの」

「うん」

「それで、なんとなく校庭見たら、『サッカーやるために生まれてきた!』ってカンジの人がいて」

「…………」

「その人、すごく輝いてた。ほんとうにサッカーが好きなんだなって」


それって、もしかして、オレのこと?


「それからずっと、私――」


北原がまっすぐにオレを見て。


「――織田くんのこと、見てたの」


オレは何も言えなくなってしまった。


北原の優しい瞳に、胸が苦しくなってしまったからだ。

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