オレの宝物。それは君の笑顔【完】
<貴文>
柚夏子にカラフルな箱を差し出されて、オレは戸惑った。
今日はバレンタインデー。
となると、これは、……チョコ?
だけど、なんで、柚夏子がオレに?
「私、小5の時からずっと、タカのことが好きだったんだ」
真面目な顔で柚夏子が言った。
「……冗談、だろ?」
「本気だよ」
「…………」
「北原さんといる時のタカって、別人みたいだよ。
……そりゃ、北原さんは可愛いから、つき合えて有頂天になるのもわかるよ。
でも、全然、タカらしくない」
柚夏子は声を詰まらせたかと思うと、
「……タカには私の方が合ってる。私といる方が、タカらしくいられるよ」
涙をこぼした。
悔し涙は何度も見たことがあるが、柚夏子のこんな涙は初めてで、オレは思わず息をのんだ。
「私のこと、ちゃんと見て――」
柚夏子はチョコをオレに押し付けると走り去ってしまった。
柚夏子にカラフルな箱を差し出されて、オレは戸惑った。
今日はバレンタインデー。
となると、これは、……チョコ?
だけど、なんで、柚夏子がオレに?
「私、小5の時からずっと、タカのことが好きだったんだ」
真面目な顔で柚夏子が言った。
「……冗談、だろ?」
「本気だよ」
「…………」
「北原さんといる時のタカって、別人みたいだよ。
……そりゃ、北原さんは可愛いから、つき合えて有頂天になるのもわかるよ。
でも、全然、タカらしくない」
柚夏子は声を詰まらせたかと思うと、
「……タカには私の方が合ってる。私といる方が、タカらしくいられるよ」
涙をこぼした。
悔し涙は何度も見たことがあるが、柚夏子のこんな涙は初めてで、オレは思わず息をのんだ。
「私のこと、ちゃんと見て――」
柚夏子はチョコをオレに押し付けると走り去ってしまった。