オレの宝物。それは君の笑顔【完】
柚夏子の気持ちとトミたちの内心を知り、オレは戸惑っていた。


部活中もまったく集中できず、グランドから離れた。


ふと、陸上部の方を見ると、柚夏子がハイジャンプの練習をしていた。


失敗すると悔しそうに大声を上げ、成功するとまぶしいばかりの笑顔になった。


柚夏子は。


真夏の太陽みたいだった。


一緒にバカ笑いし、試合に負けると一緒に悔しがった。


派手なケンカも何度もした。


だけどいつも、柚夏子の明るい笑い声はオレを元気づけてくれた。


柚夏子といるときは、気も使わないし、楽だし、やりたい放題できた。


……確かに。


オレらしいと言えば、そうなのかもしれない。

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