オレの宝物。それは君の笑顔【完】
<北原健介>


小3の冬、お母さんが突然交通事故で死んだ。


優しくて、キレイな、オレの自慢のお母さんだった。


お母さん子で甘えん坊だったオレは、悲しくて寂しくてずっと泣いていた。


メソメソ、メソメソ、毎日泣いていた。


そんなオレを、姉ちゃんは一生懸命慰めてくれた。


姉ちゃんはもともと優しかったが、それからというもの、オレのためにすべてを注いでくれた。


いつでも、オレの隣りには、お母さんそっくりに優しく微笑む姉ちゃんがいた。




隣りの家の響子も親が店をやっていたため、オレたち3人はほとんど一緒に過ごしていた。


ある日、響子と2人、もともとピアノ教室だった離れを覗くと、姉ちゃんがピアノを弾きながら泣いていた。


もしかしたら、お母さんが死んでからずっと、こうして泣いていたのかもしれない。


その時。


オレは決意した。


強くなって、姉ちゃんを守る、――と。

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