オレの宝物。それは君の笑顔【完】
バレンタインデーの放課後。


部活が始まる前、織田が陸上部の鈴木という女子から告白されていた。


そして、他のセンパイたちからも鈴木の方が織田には合ってる、などと言われて。


アイツの心は、揺れていた。


バカみたいに間の抜けた顔で陸上部の方を見たりして。


――ふざけるな。


姉ちゃんと、あんな女、比べてんじゃねえよ。


――もう、許せない。


おまえなんかに姉ちゃんは渡さない――。




オレは2人が待ち合わせしている駅前へ行って。


織田が鈴木からチョコを受け取ったことを姉ちゃんに暴露してやった。


それから帰るふりをして2人の会話が聞こえる場所に隠れた。


2人の会話を聞けば聞くほど織田への憎しみは募り、姉ちゃんの涙を見た瞬間、


お母さんが死んだ時だって、姉ちゃんは人前で泣かなかったのに――。


オレの怒りが爆発した。

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