オレの宝物。それは君の笑顔【完】

ベストカップル

<貴文>


最悪のバレンタインデーから早くも3日過ぎたが、オレは北原に話しかけることができなかった。


昼休み、オレのクラスと同じ階にある空き教室へ正人に連れて行かれた。


「北原と、仲直りしたら」


誰にも聞かれないように、との正人の配慮だった。


「だって、もう話しかけるなって言われたんだぞ。メールで」

「その時は感情的になっちゃったんだろ」

「……実は昨日も電話したんだけど、拒否されたままだったんだ」


言った瞬間、


「それ、ほんと?」


背後から、加納の声。


「うわあッ」

「わあ」


普段冷静な正人までもが、悲鳴を上げた。


「い、いつの間に」


加納響子――やはり、侮れない女。

< 98 / 233 >

この作品をシェア

pagetop