とろけるチョコをあなたに
 絵理は机の上の箱を背中で隠すような格好でオレを睨んでいる。

 顔が真っ赤になっているのは驚かされた恥ずかしさのせいだろうか。

「で、その後ろに隠してるものは一体何なんだ」

「う……。気にするな」

「お前なあ。その発言は気にしてくれと言っているようなもんだぞ。まさか、闇ルートからやばい物でも取り寄せたんじゃないだろうな」

「私がそのような事をするわけがなかろう! これはれっきとした合法品だ!」

「じゃあ見ても問題ないよな?」

「いや……。それはその……。プライバシーの侵害に当たるから残念だがお引取り願おう」

 プライバシーときましたか。そう言われるとますます気になる。

 オレは絵理に近付くと、肩越しに後ろの箱を覗き込んだ。

「こ、こら! 勝手に見るでない!」

 絵理は慌てて箱の蓋を閉めようとして手を滑らせ、箱が机の上から床へ逆さまに落ちた。
< 14 / 38 >

この作品をシェア

pagetop