-Whale Boy-③ ホエールボーイ3 中学時代編
「ふ、藤沢さん。鍵してた?」

春己が尋ねる。

「今日朝うっかりしてて、忘れてて。」
「…お母さんが、中学入学祝いに買ってくれたのに。動物さんのイラスト載ってるやつなのに。」

「え~ん」

藤沢は泣き出した。
福原とユウは藤沢の頭を撫でて、励まそうとする。

「はる。犯人みたんか?」

「ああ、なんかギャルみたいな女と、髪型が短く金髪で身長が四味みたいなやつの2人だった。」

「四味みたいなやつか…」

「はる。俺の後ろに乗れ。」

「大丈夫だよ。俺走るから。」

「馬鹿!お前は風邪ひいてんだぞ。しかも運動したばっかでまた走って悪化したらどうすんだ。」

春己は黙るしかなかった。

「ユウ。俺ははるを乗せるから、よしみを乗せてやってくれ。」

「合点!」

ユウは張り切って頷いた。

藤沢は大切にしている、動物のハンカチで、涙を拭いた。

「そんなに遠くまでは行って無いはずだから、千里丘辺りに行ってみよう。あの辺はゲームセンターとかあるから、同じような年のやつらが居ると思う。」

はるがそう言うと、
前部席の愛人が力一杯に自転車をこぎ、 東中陸上部一行は、 千里丘へ向かった。
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