ほわいとちょこれいと
歯を磨く彼の背中を見つめる。
ここだけ切り取ったら、同棲とかお泊まりとかしてそうだけど…。
私たちの家には、片道一時間の距離があった。
チャリで走ればすぐ、なんていうご近所の恋人に憧れてしまうのは仕方ないと思う。
それでも彼が寝坊するのはいつものことで、私は慣れていた。
約束通りに来ることなんて初デート以来なかった。
悪びれもなく遅刻してくる彼に、いつしか私は期待をしなくなった。
きっと、ホワイトデーも何もくれないんでしょ?
何も言わない彼の背中に問いかける。
くれなくてもいいからさぁ、こっち向いてよ。私をちゃんと見てよ…。