スキ
チャンスが到来したのは、2月15日の放課後。
もう無理かと思い始めていた時だった。
金曜日の朝から鞄に忍び込ませているチョコは、土日の部活の間も出番を待ち侘びていて。
それで、今日も1日私と一緒に授業を受けて。
もしかしたら疲れきって溶け始めてるかもしれない。
でも……。
周りをキョロキョロ。
やっぱり誰もいない。
そして、私の視線の先には靴を履き替えている彼だけ。
つまり、2人きり。
今しか、ない。
──ジーッ。
そうっと鞄のファスナーを開け、チョコを取り出すと、私は意を決して彼に声をかけた。
「た……武志……」
歩き出そうとしていた彼は、私の声にゆっくり振り返る。
そして、私の手に持つ赤い袋に視線を落とすと
「……はぁ」
冷たいため息だけ吐き、そっぽを向いた。
モテる彼は先週からチョコをもらい続けていて。
私はその現場を嫌と言うほど目撃してきた。
そして、どのチョコも突き返してきた非情な奴。
だから今のため息はきっと『だから、いらねぇよ』みたいなもので。
どうせ渡したところで、みんなと同じように突き返されるのは目に見えてる。
けど……。
『武志に手作りチョコあげるんでしょ?』
先週友達と教室に残って話していた時。
偶然にも武志本人にその会話を聞かれてしまったんだ。
慌ててごまかす言葉を探そうとしたものの、余計に墓穴を掘るだけで。
あれ依頼、ギクシャクしたままの私達。
もう今までみたいな友達には戻れない。
それならもう、ハッキリ言うしかないじゃない。
卒業だって、もう間近。
あんな伝え方のままじゃ、絶対後悔する。
だから
「す……好きなんだからっ!」
3年分の想いを
「仕方ないじゃんっ!」
声にする。
「……しょうがないじゃん」
好きなんだもん。
それはフラれる事がわかった上で、半分ヤケみたいな言い方で。
描いていた告白シーンにはほど遠い。
でも1度吐き出した想いは溢れて、言葉と共に涙となり。
もう無理かと思い始めていた時だった。
金曜日の朝から鞄に忍び込ませているチョコは、土日の部活の間も出番を待ち侘びていて。
それで、今日も1日私と一緒に授業を受けて。
もしかしたら疲れきって溶け始めてるかもしれない。
でも……。
周りをキョロキョロ。
やっぱり誰もいない。
そして、私の視線の先には靴を履き替えている彼だけ。
つまり、2人きり。
今しか、ない。
──ジーッ。
そうっと鞄のファスナーを開け、チョコを取り出すと、私は意を決して彼に声をかけた。
「た……武志……」
歩き出そうとしていた彼は、私の声にゆっくり振り返る。
そして、私の手に持つ赤い袋に視線を落とすと
「……はぁ」
冷たいため息だけ吐き、そっぽを向いた。
モテる彼は先週からチョコをもらい続けていて。
私はその現場を嫌と言うほど目撃してきた。
そして、どのチョコも突き返してきた非情な奴。
だから今のため息はきっと『だから、いらねぇよ』みたいなもので。
どうせ渡したところで、みんなと同じように突き返されるのは目に見えてる。
けど……。
『武志に手作りチョコあげるんでしょ?』
先週友達と教室に残って話していた時。
偶然にも武志本人にその会話を聞かれてしまったんだ。
慌ててごまかす言葉を探そうとしたものの、余計に墓穴を掘るだけで。
あれ依頼、ギクシャクしたままの私達。
もう今までみたいな友達には戻れない。
それならもう、ハッキリ言うしかないじゃない。
卒業だって、もう間近。
あんな伝え方のままじゃ、絶対後悔する。
だから
「す……好きなんだからっ!」
3年分の想いを
「仕方ないじゃんっ!」
声にする。
「……しょうがないじゃん」
好きなんだもん。
それはフラれる事がわかった上で、半分ヤケみたいな言い方で。
描いていた告白シーンにはほど遠い。
でも1度吐き出した想いは溢れて、言葉と共に涙となり。