時の砂
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桃は藁の寝床に横になり、低い天井を見つめていた。
物思いに更ける桃を、少し離れた場所からニヤついた男達が眺めている。
薄暗いその場所でも隠せないほどの澄んだ肌の白。
名の由来となったらしい、桃色の柔らかな長い髪。
同色の桃色の短い丈の着物から覗く、細く長いおみ足。
潤んだ鮮やかな水色の瞳。ぷっくりと膨らんだ唇。
男達が妄想にふけってそわそわし始めた頃、足音を立てずに近寄ってきた大河が、鋭い眼光で男達を睨み付けた。
大河は桃の傍でコンッと舌を鳴らす。
桃は我に返ったように、驚いた表情で大河を見上げた。