《短編》幼馴染のその後に
『…別に俺、チャラくねぇよ。』


そしてあたしから目線を外し、手元にあった包帯を見つめる。


『…心配だから心配してんじゃん。
それの、何が悪いの?』


「―――ッ!」



タケルの言葉の意味なんて、まるでわからなかった。


チャラくなかったら、結衣が好きなのにあたしにキスなんてしない。


幼馴染ならキスして良いなんて法律、聞いたこともない。


そんなタケルに、心配なんてしてほしくない。



「タケルは結衣の心配だけしてれば良いんだよ!!」


それだけ叫び、逃げるように保健室から出た。


悔しくて、悲しくて、もぉメチャクチャで。


タケルなんか、大嫌い。





『―――待てよ、美咲!!』


「―――ッ!」


瞬間、驚いて振り返った。


そこにあるのは、少し息を切らしてあたしの腕を掴んでいるタケルの顔で。



『…何で、泣いてんの…?』


「―――ッ!」



そんなの、あたしにだってわかんない。


だけど、こんな顔を、タケルにだけは見られたくなかった。



『…突き指、痛いの…?』



違う、心の方が痛い…。



『…痛み止めとか、飲む…?』



痛み止め飲んだら、心が痛いのは治るの…?


何であたしの心、こんなに痛いの…?


ただ、掴まれてる腕が熱い…。


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