《短編》幼馴染のその後に
「…変かなぁ?」


目線を泳がせながら、口元を引き攣らせた。


今一番、聞かれたくなかったことだ。



『変だね。』


だけど七海は、そんなあたしを一刀両断にする。


そして更に、次の言葉で木っ端微塵にするんだ。



『…結衣とタケルのことでしょ?』


「―――ッ!」


締め切った黄色のカーテンを見ながら、七海は核心を突いてきた。


“さすがは親友☆”


なんて言ってる場合じゃない。



「…何の…こと?」


それでもシラを切るあたしの瞳を強く見据え、七海は口を開いた。



『…何年美咲の親友やってると思ってるの?』


何も言えないあたしに、七海は更に言葉を続ける。


『…美咲が変なの、結衣とタケルが付き合いだした日からだよ。』


「―――ッ!」



違う。


正確には、“あの二人が付き合いだす前の晩”からだ。


思い出すと、胸が苦しくなって。


弱ってしまった体と一緒に、心まで弱くなって。


込み上げてきた涙を止める術なんて、持ち合わせてはいなかった。



『…美咲…?』


戸惑うように、七海があたしの名前を呼ぶ。


だけど何も答えられないくらい、泣いちゃって。


顔を覆うことが、精一杯だったんだ。


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