《短編》幼馴染のその後に
『…もぉ、何で泣いてんのよ…?』


困った顔で、七海は聞いてきた。


だけどあたしは、何も答えられなくて。



『…もしかして美咲、タケルのこと好きなの?』


「―――ッ!」



さすがは親友だけに、全てお見通しのようで。


嬉しいはずなのに、悲しくなった。


だって、気付かれたくはなかったんだもん。



「…そんなこと…あるわけないじゃん…!」


精一杯で声を上げてみたが、説得力なんてないようで。



『…わかるっつーの!』


「―――ッ!」


やっと諦めて、ため息をついた。


弱ってしまった心では、強がることも出来ないんだ。



「…好き…みたい…。」



認めてしまった。


認めたくなかったのに、口に出してしまったら終わりだ。



「でも、結衣は親友だから…!
それに、タケルはただの幼馴染だし…。」


言ってて、悲しくなってくる。


もっと早く気付いていれば、こんなことにはならなかった?


でも、卑怯なのはタケルだ。


気付く前に、結衣と付き合っちゃったんだから。


やっぱりまた、止まっていたはずの涙が溢れてきて。


何も言わない七海の前で、本日二度目の大泣きをしてしまったのだ。


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