《短編》幼馴染のその後に
『…どした?』


いつも通りにベッドに腰掛け、タケルは聞いてきた。


あたしもいつものように、椅子に腰掛ける。


だけど、タケルの瞳は見れなくて。



「…す…」


『…す?』


眉をしかめ、タケルはあたしの言葉を遮った。



「…す…きやき食べたい。」


『うん、おばちゃんに頼め。』



…じゃなくて!


何言ってんだよ、あたしは?!


えぇい、もぉ!!


こうなったら、言うぞ!!



「じゃなくて!!」


そして、顔を上げてタケルの瞳を見据えた。


少し不思議そうに、タケルはあたしの瞳を見つめ返す。



「…好きになったんだよ、タケルのことが。」


『―――ッ!』


瞬間、タケルは目を見開いたまま固まってしまった。


だけど何も言われたくなくて、あたしは言葉を続ける。



「何でキスしたのかだって、わかんないけど!!
チャラいし、結衣と付き合ってるけど!!」


そして呼吸を整え、拳を握って。


「…好き。」


『―――ッ!』


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