きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜

「土方さ〜ん。お茶、お持ちしました。」


洗濯物を干し終わった私はお茶を煎れて土方さんのところに持って行くと、土方さんの部屋の障子が開いていた。


「おう。そこ置いてくれ。」


相変わらず煙管をふかしながら土方さんが言った。


「は〜い。それにしても土方さんが障子を開けっ放しなんて珍しいですね。」


いつもは障子を閉めきって仕事をしている土方さんなのに、今日は開けて仕事をしていることを不思議に思った私は土方さんに聞いてみた。


「あ？お前がいっつも俺の部屋は煙管臭いだの空気が悪いだの言うからだろ。」


頭をガシガシとかきながら照れたように机に向かったまま土方さんが言った。


「あはは。本当のことじゃないですか。でも、ありがとうございます。」


土方さんが私のために障子を開けて換気をしてくれていたことが嬉しくて言った。


でも、私は土方さんは口は悪いけど、本当は優しくて私のことを考えてくれていることを知っている。


いつも障子を閉めきって仕事をしているけど、私が仕事が終わって部屋に戻ってくる時には必ず、部屋の換気をしてくれている。


そして、私が仕事が終わって部屋に戻ってきた後は絶対に煙管を吸わない。


そんな何気ない土方さんの優しさに私の中の土方さんを好きな気持ちがどんどん大きくなっていく・・・