きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜
私たちがお墓の前に立った瞬間、今まで風なんか無かったのに、急にさ〜っと風が吹いた。



その風の中で、私はある声を聞いた・・・



『お華さん。私は君たちの幸せを願っていますよ。幸せになりなさい。』


とても優しい、温かい声だった・・・


「ちょっと、沙夜?どうしたん?泣いてるで。」


心配そうな顔をして馨が言った。


「あれ?」


そう。
私は自分でも気付かないうちに泣いていたんだ・・・


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