きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜
「さ。ここが八木邸や。」



光縁寺から少し歩いて八木邸に着いた。



彼は八木邸の長屋門と呼ばれる場所で私に背を向けて立っている・・・



頭痛が酷くなる。



私の頭の中では様々な声がする。



『華くん』


『お華ちゃん』


『華さん』



皆が私を呼んでる・・・



大好きな新撰組の皆が・・・



『華・・・』


大好きな彼が、一番大切な愛しい彼が、私の名前を呼ぶ。


彼はゆっくりとこちらを振り返る・・・



あ・・・
何だか目の前が暗くなる・・・




「沙夜?ちょっと大丈夫?しっかりしてよ!涼!救急車!救急車呼んで!」



私は馨が叫ぶ声を遠くなる意識の中で聞きながら意識を手放した・・・



忘れててごめんね?
馨・・・涼・・・そして・・・



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