きみ、いとほし〜幕末純愛抄〜
「総司・・・何でお前がそれを持ってる?良い子だから返しなさい。」


土方さんが総司に詰め寄る。


パラパラと豊玉発句集を捲った総司は・・・


「梅の花 一輪咲いても 梅は梅」


豊玉発句集を朗読し始めた。


「ぷっ。そんなの当たり前じゃねぇか。」


それを聞いていた原田さんが笑った。


「左〜之〜」


鬼の形相をした土方さんが原田さんを睨んだ。


「水の北 山の南や 春の月」


またしても総司が豊玉発句集を朗読した。


「総〜司〜」


土方さんが総司を振り返った時には総司は馬に跨がり逃走を謀っていた。


「待ちゃ〜がれ〜。」


馬に乗った総司を物凄い速さで走る土方さんが追いかける。


「おお。トシの韋駄天走りか。久々に見るなぁ。」


と、土方さんの叫び声が届いたのか、近藤さんが部屋から出てきた。


「近藤さん・・・」


(((いや、止めようよ。)))


「さて、そろそろ暗くなってきたことだ。華くん、夕食の用意を頼むよ。」


「はい・・・」


こうして壬生浪士組の賑やかな1日は終わって行くのであった。



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