【シリーズ】~出会った時は笑顔で~
そんな時だった。
沙南と別れてから2年。
俺は街に出ていた。
いつものように歩いていると、1人の女性とすれ違った。
俺は急いでその女性に声をかけた。
「沙南!!」
俺がすれ違ったのは…
紛れもなく沙南だった。
俺が沙南を間違うわけない。
沙南はゆっくりと振り返った。
「えっ…?」
いきなり名前を呼ばれたことにびっくりした沙南は、
不審な表情で振り返る。
「……翔…ちゃん……?」
沙南は泣きそうな顔で俺の名前を呼んだ。
その瞬間、
俺の中で眠りかけていた想いが、
また蘇った。
「久しぶりだな…」
「久し…ぶり……」
俺たちの間に沈黙が流れた。
俺と沙南は、邪魔にならないように隅に寄った。
気まずい中、先に沈黙を割ったのは俺だった。
「…元気してたか?」
「……うん。
翔ちゃんは?」
「元気だよ」
俺がそう言うと沙南はほっとしたような顔をした。
そんな沙南を見て俺も安心した。