泣いた赤色、うたかたの青
少年が女の子と一緒に暮らし始めて、一年が経ち、二年が経ちました。

少年は最初のうちは満たされた気持ちで、
女の子をとても大切にしておりましたが、

やがて何か物足りないような気分になりました。


そうして彼ははっとしました。


女の子との暮らしが楽しくて、いつの間にか少年は、

他の人間と関係を持つことも、
村の子供たちと仲良くしたいと思うことも、忘れてしまっていました。

ずっと二人だけで過ごすようになってしまっていたのでした。


女の子と過ごすだけで、
満ち足りて
温かな気持ちになっていたことが

旅の途中でずっと立ち止まっていたかのように、

急にとてもつまらなく、良くないことのように思えました。


昔からみんなと仲良くしたいと願い続けてきたのに、

そんな大切な目的を忘れてしまっていたなんて、自分はどうかしていたという気分になりました。


少年はまた以前のように、村に出かけて行って、村の人間に声をかけるようになりました。

女の子を大切にする時間は、減ってゆきました。
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