泣いた赤色、うたかたの青
「それが、コウタの望みなの?」

女の子は悲しそうにたずねました。

「そうだ」

と、少年はうなずきました。

「おまえのせいで忘れていた! おれにとって一番大切なことだ」


女の子は衝撃を受けたように、青い瞳で少年のブドウ色の瞳を見つめました。


それから、

「わかった」

と言って、微笑みを浮かべました。

それは必死になって、むりやりに笑おうとしているような笑顔でした。


「あたしが、コウタの望みを叶えてあげる」


青い瞳には、とてもとてもかたい決意の光が灯って揺れておりました。
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