泣いた赤色、うたかたの青
ちろちろと、赤いたいまつの炎が揺らめいておりました。

村の子供の悲鳴と、大人の怒鳴り声とが、家々の間に聞こえています。


「あはははは!」


その中で、女の子の狂ったような笑い声が響いていました。


女の子は片手にメラメラと燃えるたいまつを持って、
そしてもう一方の手には鉄砲を持って、

恐ろしい顔で村の人々を追い回しているのでした。


村の異変に気がついて、

家から猟に使う鉄砲が消えていることに気づいて、


少年が村へと駆けつけた時には、

女の子が鉄砲を小さな子供に向かって構えていました。



「やめろ!」



少年は夢中で飛び出して、女の子につかみかかりました。


「どうしてこんなことをするんだ!」


「だってあたしは、魔物の子供だもん」


女の子は狂ったように笑い続けていました。


「龍神様の淵からはい出た、魔物の子だもの」


「違う!」


少年は女の子の手から鉄砲を取り上げようと、もみあいになりながら叫びました。


「おまえは優しい、いい子だ! こんなことするような子じゃない」


たいまつの灯火に照らされて、女の子はゆらゆら揺れる瞳に少年を映して、


「ねえ、コウタ」と、ぽつんと言いました。
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