泣いた赤色、うたかたの青
皆が、それぞれの家に引き上げていった後、

「どうして……」

少年は女の子の体を抱きしめて、何度も何度もその名前を呼びました。


遅すぎる衝撃が、少年の体を貫いていました。


少女と暮らすようになって、

温かい笑顔に包まれて、


少年はいつの間にか彼女を愛するようになっていました。


けれども、すぐそばにあったささやかな温もりよりも、
ずっと手を伸ばし続けてきた望みが眩しくて、手に入れたくて、

少年の目には、とっくに手に入れていたものは映っていなかったのでした。


動かない少女を見つめて、

失って初めて

少年は自分の気持ちに気がついて──



だから……
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