イジワルな俺様の秘密ライフ


どうしよう

どうしよう



怖い顔をした大地から目が離せなくて、

海翔様を目のはしに捉えながら、

ごくりと唾を飲んだ。



その音のあまりの大きさが示すのは、

耳に痛いくらい張りつめた無音の教室。



渦中にいる大地は、海翔様の胸ぐらを掴んだまま。



その大地の顔色は、ここからでもわかるくらいに真っ赤で、

怒っているのが一目でわかる。



海翔様はそんな大地に向かって、

ふ、と息を吐いた。



──違う。



息を吐いたように聞こえたけれど、

ここからは表情が見えなかったけれど、

でもあれは確かに──



“笑った”


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