イジワルな俺様の秘密ライフ
大地は笑顔だったけれど、瞳は悲しそうだった。
ズキンと痛む胸を隠すように、私は視線を伏せた。
ゆらりと影がさして、私たちの頭上から声が降り注ぐ。
「近付くな、か……近付いたらどうなる?」
それは少し含み笑いをにじませた、海翔様の声だった。
「あやさんは優秀な番犬を飼っているんだね」
私の見上げた先には、私に向かって愉快そうに笑う、海翔様。
目は、笑っていない。
その妖艶さに、心臓が持っていかれる。
体の芯が熱を帯び、ぞくりと脈打つ。
酸素を求めてあえぎかけた私の視界を遮ったのは、立ち上がった大地だった。