イジワルな俺様の秘密ライフ
掴まれた腕が熱く、痛い。
でも振りほどくことは出来なくて。
海翔様を敵に回すような発言をした大地は、
明らかに私のためを思って言ってくれていて、
傷つけたのに、
それでも私の味方だと言ってくれているかのようで。
ただ素直に『嬉しい』と、そう思った。
海翔様が何かをいいかけて口を開いたとき、
担任の「ほら早く席につけー」という声がして、
結局何も言わずに大地を一瞥しただけで、そのまま教室を出て行ってしまった。
「大地……ありがと」
小さく伝えた言葉は大地に届いたようで、
ぽん、と私の頭に大きな手が被さって、
「何かされたらすぐ俺に言えよ」
とぬくもりを残して席に歩いていった。
そういえば、海翔様も同じことを言ってたっけ……
そんなことをぼんやりと思い出しながら、私も自分の席へと座った。