イジワルな俺様の秘密ライフ
嵐の前の静けさというのは、きっと今のような空気を言うに違いない。
「あれ、聞こえなかったかな……
一緒に……」
「か、帰りません………っっ」
私からこんなにか弱い声が出るのを、初めて知った。
「と、友達と帰るんで……
ね、ナツ」
約束はしていなかったけど、きっとナツなら肯定してくれるはず。
そう思って振り向いた先には、
『ごめん』
とだけ書かれた白い紙が、机の上で風にかすかに揺れていた。
唖然としてその紙を見つめる私の背後から、クスクスと笑う声。
王子様が、耐えきれない笑いをこらえるかのようにしていた。
「お友達、先に帰っちゃったみたいだね。
同じ寮生なんだし、一緒に帰ろう」
そう言って、さっさと私のカバンを持って、教室を出て行ってしまった。
グッバイ、私の平穏な学校生活。