イジワルな俺様の秘密ライフ

どんな想いでケバ子がそう言ったのか、私にはわからないけれど、

その言葉が私の胸をぎゅっと締め付けたのは確かだった。



「花園さん……」


「……まだいたの？

早くどっかいきなよ」



ケバ子の声はさっきのような怒気も元気もなく、
なかば投げやりな物言いで、

私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



ここまで背中を押してもらっても、まだ踏み出せない。



だって……


「海翔様って、何組……？

そしてここからどうやったら行ける……？」


クラスも場所もわかんないんだもんっっ



「はあ!?

ったく……世話焼ける」



「面目無い……」



返す言葉なんてあるはずもなく、しょぼんとうつむいた私の目の前の扉がガラリと開いて、

呆れた顔をしつつも口のへりが少し緩んだケバ子が立っていた。



「途中まで一緒に行ってあげるよ」



……本当に面目無い……


だからケバ子の目尻が微かに赤いのは、私のオバカさに笑ったからだと、

今はそう思わせてね……