イジワルな俺様の秘密ライフ
いくつ階段を越え、
いくつの教室の前を通過したろうか……?
ケバ子を見失わないよう、必死に追って歩いたから、
どこをどう歩いたのか覚えていない。
それでもこれだけは言える。
どんだけ大きい学校で、
どんだけ複雑なつくりの学校なんだ!
「……ここは…迷路学園…?」
ぜいぜいと息を切らした私の言葉に、フンと鼻で笑った声が聞こえた。
「道を覚えられて、ちょくちょく海翔様の教室に行かれちゃ迷惑だからね。
わざとぐるぐる回ってんの」
ケバ子のそのどこか誇らしげな言葉に、私は脱力感に襲われた。
「でも海翔様が何年何組なのかを覚えたら意味ないよね……?」
「大丈夫。こうしてる間に、何年何組か見えないよう、友達がプレートに細工してるから」
……意外に抜かりなし、ケバ子…!!
肉弾戦はともかく、頭脳プレイも私は勝てないかもしれない……
そんな私の驚愕にはお構い無しで。
「あ、ここだよ」
ケバ子はひとつの教室のドアを指差すと、じゃあねとも言わずにさっさと自分の教室に帰ってしまった。