イジワルな俺様の秘密ライフ
廊下を夢中で走って、ひとけのないところへ駆けていく。
まばらに散らばっていた生徒たちをすり抜けて、いつしか周りに誰もいない廊下を足取り重く歩いていた。
もはや自分がどこにいるのか、どこを目指してるのかなんてわからない。
ふと視線を上げると、いつかの史料室が目に入った。
ケバ子に無理矢理連れてこられたことのある、あの史料室だ。
鍵は……かかってない。
私は静かに、扉からするりと身を滑りこませた。
はぁ、と溜め息をつくと、さっきのことが思い出される。
海翔様の、台詞とは真逆にしか感じられない行為と表情を思い出し、私は唇を噛んだ。
悔しくて、悲しくて、
……つらい。
昼休み終了を知らせる予鈴が鳴っても、そこから動くことが出来なかった。
扉に背を預け、ずるずると床に座り込む。
頬を伝う涙は熱いはずなのに、ひどく冷たく感じて、心が痛かった。
本鈴が鳴ったけど、授業なんて受けられる状態じゃない。
それに教室にはナツと大地が戻っているはず。
二人は海翔様の台詞をどう思って、どんな顔で聴いていたろう。
考えたくなかった。