イジワルな俺様の秘密ライフ
ナツの言葉に大地は黙りこくる。
「っつーか、大地って学習能力ないよね」
と容赦なく言いながらも、ナツの視線は優しい。
「うるせぇ」
ふて腐れた様子の大地に、私は小さく「ありがとう」と言った。
そんな私に視線を戻し、大地は言いにくそうに言葉を出した。
「礼なんて……」
ぽつりと呟き、顔を伏せた。
表情が見えない。
ナツはそんな大地をチラリと見て、かすかに溜め息をついた。
そして私に向き直り、少し緊張した面持ちになる。
「それより、どーすんの?
海翔さまへの返事」
ギュッと胸の奥を鷲掴みにされたような気がした。
「へん…じ……?」
ようやく出した掠れ声に、ナツは大きく頷く。
「海翔さまがコクった返事。
もう学校中の女子に広まってると思うから、
逃げても無かったことには出来ないよ」
ナツの言葉に目眩がした。
学校中の女子に広まってるなんて……
それに。
ナツ、誤解だよ……
海翔さまはコクってない。
私は返事から逃げたんじゃない──