イジワルな俺様の秘密ライフ


あの時、ナツと大地には海翔さまの表情は見えなかったから、

だから言葉だけでコクったと受け取ったのだとわかっていても、

やっぱりツラい。



だけど誤解は解かなきゃならない。



ナツの言ったように、誰かの口から入る前に、

私から二人に話さなきゃ……



そうわかっていても、なかなか心の準備が出来ない。



口に出すことで、万に一つの可能性すら潰えてしまうような気がして。



気付いたばかりの『海翔さまを好き』という気持ちを、

殺してしまうような気がして。



あんな表情であんな言葉を言われた惨めな自分を、

二人に知られたくない……



言えない……


視線を落として黙り込む。



ナツも大地も急かすことはなくて、

でもそれが逆に私を苦しめた。



急かしてくれたら、ここを飛び出して行けるのに。

うやむやに出来るのに。



逃げ出せるのに。



二人の優しさが、それを許してくれない。



「ごめん、お節介だったね。

まぁ海翔さまを振ろうが付き合おうが、どっちの結論でもうちらはアヤの味方だよ」



寂しそうなナツの声に、申し訳なさでいっぱいになる。


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