イジワルな俺様の秘密ライフ


私は勘違いをしてたのかもしれない。



ナツがけしかけた一言で無理に『好き』と言ったのだなんて思いが、心の片隅にあった。



だからからかう対象として言ったのだと、そう思っていた。



その証拠が、あの時、

海翔さまの教室から逃げるように走ったとき、

追いかけて来なかったのがその証拠だと、そう思っていたのだ。



だけどナツから話を聞いて。



果たしてあのような場で私に告白をしたことで、何かメリットがあるだろうか。



王子様としての立場なんかわからないけれど、

メリットなんてないんじゃないだろうか。



むしろ私が逃げ出したことでデメリットばかりになった気がする。



『大切な人』と言ったことで更に。



思いすごしだろうか。

それとも。





昇降口を出て、まっすぐに寮へと向かう。



入り口のところに、制服を着たまま腕組みして寄りかかっている人影が見えた。


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