イジワルな俺様の秘密ライフ
「ご、ごめんなさい……」
謝った私に、深い溜め息が落ちてくる。
「……いや、元はといえば俺のせいだし。
悪い。これじゃ八つ当たりだな」
腕の力が弱まって、私から身体が離れていく。
私はそれを遮り、ギュッと海翔さまの腕の服を掴んで身を寄せた。
そして自分の顔が見えないように俯く。
これから海翔さまに訊こうとする言葉が頭の中を占めていて、
心臓がばくばくと早鐘を打つなか、
漸く口を開いた。
「それは、あたしだから……?」
私のこと好き? と訊けない私の、精一杯の勇気。
海翔さまのこと好きだよと言えない私の、精一杯の勇気。
「あたしのこと、気に入ってるから……?」
コクンと海翔さまが頷いたのがわかる。
それだけで私の心臓壊れそう。
神様仏様。
ヤハウェ様でも天照様でもお釈迦様でも、なんならサタン様でも。
なんでもいいから、私にもう少しだけ勇気を下さい。
「どうしてあたしにイジワルするの……?」