イジワルな俺様の秘密ライフ


「あやは?」



間髪入れずに、真剣な眼差しで私に問いかけてくる海翔。



纏っている空気が、すごく気迫が込もっているように感じる。



いつも自信に満ち溢れている海翔の中に、かすかに不安が混じって見えるのは気のせいだろうか。



それとも願望?


わからないけれど、すぐに言ってしまうのはもったいないと思った。



だって、いつもいつも翻弄されてばかりじゃつまらないじゃない?



たまには調子に乗ったり、したいじゃない?



海翔が私の返事を固唾を飲んで見守るなんてこと、もうこの先には二度とないかもしれないもの。



だから私は、口を結んで海翔の視線を真っ向から受け止めながら、静かに時が流れるのを待っていた。


< 148 / 290 >

この作品をシェア

pagetop