イジワルな俺様の秘密ライフ
言ってることが理解出来ない。
ゆっくりと近付いてくる王子様の手も、払いのけることすら忘れ、
私は頭の中真っ白に、ただただ彼を見つめていた。
少し茶がかった黒髪から覗く黒曜石のような瞳に、私が映しだされ。
その綺麗な顔立ちに見とれてしまっていた。
その一瞬で彼は私を捕らえた。
腰を引き寄せられ、
後頭部を押さえつけられ、
抱きすくめるようにして……
「な、何すんのっっ!!」
「試食」
唇と唇が触れるかという刹那、
グイとずらされて、かぷりと耳たぶを甘噛みされた。
そして彼は私から、ぱ、と体を離したかと思うと、ペロリと唇を舐め、ニヤリと笑った。
「期待したか?」
「すすすするわけないでしょー!!」
期待って何を?と言わないあたり、もしかしたら期待しちゃってたのかもしれない……