イジワルな俺様の秘密ライフ


どうやら海翔たちがいがみ合っている間に、男子生徒たちが気がついたらしい。


もっと早く逃げときゃ良かったかも。


そんな考えを持ちつつも大した抵抗もせずにノンビリしていたのは、

どこへ連れ去られようと、ネタのバレた告白をされるだけとわかっているからだ。


一時の青春くらいは味わえたらいいなぁ。


「あ、あやっ……!!」


「やべ、海翔様に気付かれた!

逃げろ!
なんとしても桜野亜弥を渡すなよ!!」


熱くなっている男子生徒に、ちょっと可笑しさが込み上げる。


意外に思ったのは、このアホらしい戦略を知っているはずの海翔が、

ひどく慌てていたこと。


大地ももちろん知ってるはずなのに、手当たり次第に掴みかかっては懸命に私に手を伸ばしている。


なんでそんなに必死なんだろ。


当事者の私が一番落ち着いていた。


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