イジワルな俺様の秘密ライフ
私はおとなしく頷いておいた。
だって食堂の場所とかわかんないし。
『飯行こうか』と言うくらいだから、きっと海翔様はわかるんだろう。
置いていかれないよう、ご機嫌をとっておこうというもの。
従順な私を見て、海翔様は満足そうに微笑んだ。
――――――――…
そして何故か今、私は天ぷらを揚げている。
「…………」
ぱちぱちと揚がる天ぷら。
「……ねぇ」
テーブルに雑誌を広げ、ぱらぱらと捲っている海翔様。
「……ねぇ」
「なんだ」
何度目かの『ねぇ』のあと、やっと海翔様からのお返事を賜った。
「なんで私が天ぷら揚げなきゃならないの?」
食堂に来た瞬間、キッチンに立たされ、有無を言わせずに材料を押し付けられ、『天ぷら作れ』で今に至る。
「食いたいから」
「うん、天ぷらが食べたいのはわかったけど、なんで私がそれを作らなきゃならないの?」
「俺が天ぷら食いたいから」
……かみあってねえ!!