イジワルな俺様の秘密ライフ
私の呟きが聞こえたのか、
彼はスッと伸ばした背筋と引いた顎はそのままに、
にっこりと微笑んだ。
顔だけなら海翔と同等。
真っ黒で艶やかな髪と瞳。
鼻筋はすっと通っていて、切れ長の目は少しだけ狐を連想させる。
女の子には不自由しなそうな彼。
なんでまたこんな馬鹿げた祭典に!?
そう思ったけど、
ひとつだけ思い当たることがあった。
この人きっと、先生が入れたがってた『狂言部』の人だ。
「こんにちは」
今度は普通に話しかけてきたから、私はそっと耳から手を離す。
「こ、こんにちは……」
ためらいがちに返した挨拶に、くすっと優しい笑顔が向けられた。
さっきの凛とした狂言紛いとは違い、
雰囲気が丸い。