イジワルな俺様の秘密ライフ


「な、ん、で、わ、た、し、が?」


かみ砕いてやったぞコンチクショウ。



だから今すぐ的確に、要領よく、わかりやすく、端的に述べたまえ!!



……と言えたらどんなにいいだろう。

ガンバレ、小心者の私。



「お前しかいないから」


……は?



「今、なんて……?」



それはアレですか。

『君しか僕の口に合う天ぷらを作れるひとはいないよ…!』

『海翔様…!』

を狙ってるんですか。


あいにく私はあなたの親衛隊ではありませんが。



海翔様はわざとらしく溜め息をついて、

「この寮、お前しかいないから」

といいのけた。




……コノ寮、オマエシカイナイカラ??



「えーっ!!……イタッ」

あまりの驚きに、思わず天ぷらを入れてしまい、

パチパチと跳ねた油に私は手をひっこめた。



「バカ!」



勢いよく腕をひかれ、流水に手を突っ込まれる。



ザーザーと流れるきりりと冷たい水に、私の手は冷えていく。



「あり……がと……です」



チラと見たら凄く真剣な顔つきをしていて、また怒られるかと思ったけど、すいと目線をそらされた。



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