イジワルな俺様の秘密ライフ


「ほら」



ぐいっと押されたお皿。



真っ白なお皿の真ん中に、

ふわっふわのたまごが半熟とろとろにのっていて、

その上にかけられているのは多分デミグラスソース。



ここまで香る、いい匂い。



視覚嗅覚に誘われて、ふらふらとテーブルに近付くと、

まだうっすらと湯気がたっていた。



吸い寄せられるように椅子に座り、

傍らにおかれていたスプーンを手にとる。



ひとさじ、すくう。



中のチキンライスはほんのりトマト色をしていて、

とても綺麗だ。



ぱくっと口の中に運んだら。


「うっまーー!!」


その美味しさに、思わず叫んでいた。



「おおげさだろ……」



呆れ返った、というよりも若干はにかんでいるような、

でもそれをみせまいとしているような、

複雑な顔で視線をそらす海翔に、私はブンブンと首を左右に大きく振ってみせた。


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