イジワルな俺様の秘密ライフ
海翔は盛大に肩で息をつき、
「いい、なんでもない」
と言った。
何だろう?
そう思ったけど、なんだかあまり追及して欲しくないみたいだったから、
訊き直すのをやめた。
「それより、まだ入るか?
デザートを──」
「なになに!? デザートまであるの!?
わー食べる食べる!!」
はしゃぐ私を見て、海翔は「ゲンキンなやつ」と微笑んだ。
その微笑みが、
優しくて、
あったかくて、
穏やかで。
海翔に見つめられて恥ずかしいんだけど、目をそらせなくて。
心臓だけがばくばくと動きを速めていて、
心臓も
感情も
思考も
はち切れそうだ。
ナニコレ何の魔法。
たったそれだけの仕草に、一体どれほどの魔力を込めたの、海翔。
おさまらない鼓動に追い討ちをかけるように、
ピンと軽く、でこぴんされる。
「俺に用意させる気か?
自分でとってこい。
冷蔵庫に入ってる」
ガタンと大きな音をたてて私は椅子から立ち上がると、おでこを押さえて厨房へと向かった。
触れられたおでこが熱い──