イジワルな俺様の秘密ライフ
冷蔵庫を開けると、ひんやりとした冷気が頬を撫でた。
火照った顔にちょうどいい。
流れてくる冷気を感じながら、冷蔵庫の中段あたりのケーキを見つけた。
お皿にのってラップがかけられているそれは、
ザッハトルテだった。
あの日、ホテルのディナーで食べたケーキ。
つい先日のこととはいえ、覚えていてくれたことが素直に嬉しい。
甘いものなんて興味なさそうで、私が何を食べたかなんてろくに見てなかった気がしたのに。
数あるものの中から選んだのに、覚えててくれたんだ──
そっとお皿を持ち上げる。
触れたところがキリリと冷たくて、
体を震わせた。